「まちエネ大学東京スクール」プレイベントでキックオフ!

  • 2013.10.23
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10月21日、いよいよ「まちエネ大学」のプレイベントが始まりました。

全国5カ所の先陣を切ったのは東京スクール。平日夜にもかかわらず約60名の方々にご来場いただき、会場は早くも熱気に包まれました。エネルギー問題を学ぶのは初めてという方から、すでに地域での取り組みを始めている方、あるいはビジネスとして再生可能エネルギーに取り組んでいる方など、さまざまなバックグランドをお持ちの皆さんが一堂に会しました。

全国5ヵ所で開催されるプレイベントは、日本の再生可能エネルギーの普及拡大政策をリードする資源エネルギー庁新エネルギー対策課長・村上敬亮さんと、IT分野でのベンチャー支援では知る人ぞ知るというプロフェッショナル・コネクター 勝屋久さん(http://www.katchamanpower.com/)によるゲストトークを、人材育成コーチの吉田典生さん(http://www.d-coach.com/)がナビゲートしてくれます。

01ファシリテーターの吉田典生さん

このプレイベントの目的は、再エネを感じていただくこと。もちろん学ぶべき知識もありますが、まずは「思考する」より「感じる」ことを大切にしたい――そんな思いを込めて、イベントの冒頭で勝屋さんから、3つのメッセージをお伝えしました。

1.一人一人にとっての再エネを感じる
2.感じることでビジネスの種が出てくる
3.心をオープンにして仲間づくりをしてほしい

こうした思いをお伝えしたのち、いよいよメインプログラムに進みました。

●ミニレクチャー「再生可能エネルギーと地域活性化」

村上敬亮さん(経済産業省資源エネルギー庁 新エネルギー対策課長)

いま福島沖で、世界最大の「浮体式洋上風力発電所」の実験設備が建設されています。村上さんは、日本企業の技術力が存分に発揮されているこの事例を含め、世界でも大規模な再エネ事業がすでに数多く進んでいることを紹介してくれました。

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その後は一転して、エネルギーとはまったく異なるまちづくりのお話。長野県小布施(おぶせ)町は、晩年この地に住んだ葛飾北斎にちなんだ「北斎館」をつくり、そこを拠点にさまざまな人がつながりながら、町の資産を活用した地域づくりに取り組み、多くの人が訪れる町へと変貌を遂げました。村上さんは、小布施町のエピソードを引き合いに「多くの場合、私たちは自分たちの地域の未来を自分たちで選ぶことができません。国全体に横並び意識が強く働いているからです。小布施は数少ない成功例といえるでしょう」と指摘しました。

ここで村上さんは「再エネ事業を進めるに当たって、各地域でのつながりの力そのものが試されている」と話し、エネルギーとまちづくりが実は重なっているということを浮き彫りにしてくれました。まちエネ大学で学んでほしいのは、知識やノウハウだけではありません。参加者同士のつながりをつくってほしい。一人一人がエネルギーの問題を「自分ごと化」して、アクションのきっかけをつかんでほしい―という熱いメッセージをいただきました。

●「パワー・トゥ・ザ・ピープル~グローバルからローカルへ~」上映

この映画は、オランダで再生可能エネルギー普及に取り組む活動家や、デンマークのサムソ島を100%クリーンエネルギー化した取り組みなどを紹介するドキュメンタリーです。

参加者からは、「自分たちの意識を変える大切さが伝わってきた」「政府に任せるのではなく、自分たちでやろう!というメッセージがよかった」といった声があがりました。

●ミニセッション「みんなでつながり地域を元気にしよう!」

勝屋久さん(プロフェッショナル・コネクター)

このセッションでは、全国各地で「つながり」を生み出すプロフェッショナル・コネクター、勝屋久さんが登場。勝屋さんによれば、盛り上がっている地域に共通するのは、「オモロイ人×ワクワクするベクトル×ステキな仲間」という3つの要素。「オモロイ人」とは、いい意味でのヘンタイである!と勝屋さんは言い切ります。そんなちょっぴりヘンタイな人たちが、組織や肩書きではなく、個としてつながっているのがミソ。「○○さんがやるならやろう!」という人の思いが人と人とをつなぎ、仲間になって、新しいワクワクする取り組みが増えているのです。地域で再エネを進める上でもヒントになりそうな、パワー溢れるお話でした。

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●グリーンパワー・ワークショップ
「再生可能エネルギーを、日本を、地域を、自分たちを変える力にしよう!」

ここからは、小グループに分かれて参加者同士のディスカッションです。今日ここまでで「何を感じたか」、そして「では何をしたいか、何ができるか」について、思いやアイデアを交わしました。10分間という短い時間でしたが、どのグループも初対面同士とは思えないほど、楽しそうに語らっていたのが印象的です。

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どんな話が出たのかをフロア全体で共有いただくと、「自宅の屋根に太陽光発電を設置しようと思ってるんですが…」と具体的な悩みが出てきました。すると、ほかの参加者から次々とヒントや意見が寄せられ、早くもコミュニティでの学び合いが始まった様子です。

お一人おひとりに発言いただく時間はありませんでしたが、「感じたこと」「取り組みたいこと」を付箋に書いて貼りだしていただくと、たくさんの感想やアイデアで、あっという間に2台のホワイトボードが埋め尽くされました。

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「まちづくり事業の一環で取り組んでいるシェアオフィスにソーラー発電を取り入れたい。利用者が電気代を払わなく済むようにできれば、ほかのシェアオフィスと差別化ができるはず」

「ちょっと“ヘンタイ”な女の子3人でエネドルとして活動中。エンタメの力で環境意識をゼロから0.1に、楽しく底上げできるような活動を続けていきたい」

などなど、ユニークで具体的なアイデアも多く、実に多様なバックグランドを持つ方々に参加いただいたことに改めて気づかされます。

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11月からの東京スクール本講座をナビゲートして下さる人材育成コーチの前田典子さんも駆けつけてくれました。

最後に、このたびの「まちエネ大学東京スクール」を協賛いただく西武信用金庫(http://www.seibushinkin.jp/)の高橋一朗常勤理事から「大きなことばかりが有利な時代は20世紀に終わってしまいました。これからは、ここにお集まりのようなお一人おひとりが地域の中で主役になり、そういう方が一人でも多い地域が、幸せで豊かな持続可能な社会になるような気がします。そのときに大事なことは、全部を自分でやらないことだと思います。それぞれに詳しい方、専門の方がいます。私たちは地域の金融機関として、そうした方々をつなげていくという面でも、ぜひ一役買いたいと思います」と力強いご挨拶をいただきました。

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参加者のお一人、造園会社にお勤めの山田智子さんは「私がやりたいのは、庭の喜びを子どもと分かち合うこと。ほかの子育て世代の人たちと庭のある空間をシェアできたらステキだなとも思っていますが、そうした場はやっぱりエコな環境にしたいので、エネルギーも太陽光などを活用できたらいいのかなと思って。でもノウハウがわからないので、勉強したいと思って今日は参加してみました」と話してくれました。

再エネの普及をめざした「つながり」のしくみは、きっと地域ごとの特性があるはずです。全国5カ所の地域で、どんな個性が見えてくるのか、これからのまちエネ大学東京スクールの展開が楽しみに感じられたプレイベントでした。