山陰スクール第2回、7グループが誕生しました!
- 2013.12.26
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12月18日(水)、まちエネ大学山陰スクールの第2回講座が開催されました。
今回の講座では、各地で再エネ事業のプロデュースに多く関わっている、サステナブルコミュニティー・プロデューサーの大和田順子先生をゲストにお迎えし、各地の成功事例を参考にして、実際に事業を行う上でのポイントを検証しました。
まず、第1回講座の振り返りです。ファシリテーターの長谷川さんが参加者に問いかけると、「詳しいことを教えていただいてすごく勉強になった。あと、みんなと話し合いをする中で、繋がりが広がっていくことを楽しみに来た」「単に知識などを学びあう場ではなく、今後事業を進めるにあたって参加者のみなさんと繋がりができた。この大学が終わった後も引き続き切磋琢磨していきたいと期待している」といった声が寄せられました。
さらに、『LFC』『下げ代』『しわ取り』といったキーワードを思い出した後で、本日のゲスト大和田先生の話に移りました。
大和田さんからは、いわきおてんとSUNプロジェクトのコミュニティ電力やオーガニックコットンのプロジェクトの事例を始め、緑の分権改革事業などについて具体的な紹介がありました。
大和田先生の話を受けて、2~3人でグループになって感想を共有。「単純に電気だけではなく、モノやサービスを複合的に考えていけば、活性化に繋がるのではないかと改めて思い知らされた」などという感想が寄せられました。
福島では今後、南相馬市内で車座交流会が予定されているそうです。国内各地を飛び回って精力的に活動する大和田先生の姿に、受講生の皆さんも大変刺激を受けた様子でした。
そのあと、地域の再エネ政策について理解を深めるために、島根・鳥取両県の担当の方から、プレゼンテーションを頂きました。
・島根県 地域振興部 地域政策課 寺本英司さんより
島根県は日照時間が全国平均よりかなり低いため、太陽光発電は全国と比べて低い。大規模太陽光発電ではまだ伸び代がある。風力発電の導入では全国7位、中国地域では第1位。海岸線が長いという地理的要因と、海岸線に人口集積地が多いのでそこに大きな電線があるため系統連系がしやすいという要因が考えられる。小水力発電は、今大規模な水力発電はできないだろうということで、今後小水力が中心になるのではないかと思われる。バイオマス発電は森林面積が大きいこともあり、ポテンシャルが高い。バイオマス燃料は熱利用と発電利用があるが、熱利用が主になっている。平成27年度に松江と江津に大規模なバイオマス発電所ができるため、これで森林資源は頭打ちと思われる。メガソーラー候補地公表をホームページで行っている。再生可能エネルギー施設の設置には島根県環境資金というのがあるので活用いただきたい。
・鳥取県 生活環境部 環境立県推進課 丸山慶子さんより
平成23年に「とっとり環境イニシアティブプラン」という環境に関する政策を掲げている。平成26年までの4年間の行動計画として6本の柱を元に政策を作っており、1番最初の「エネルギーシフト」というところで、再生可能エネルギーの導入加速を掲げている。鳥取県には大規模な発電施設がなく、主に買う側であるため、電力の自給率を少しでも上げることを目標にしている。構成としては水力発電、風力発電で電力を自給しているため、それを加速していくということで進めている。太陽光発電の導入が目標よりも倍近くあり、逆に風力発電が環境アセスメントの対象になるなどなかなか進んでいないが、相対的に目標を達成できる見込み。再生可能エネルギーの支援制度としては、家庭では市町村と連携した補助制度を設けている。事業所等に関しては太陽光には補助金を設けており、また中小企業の省エネということで、商工労働部と連携した補助制度を設けている。ほか色々な補助を設けている。平成26年には国内最大級のメガソーラー施設が完成する予定。
休憩の後は、グループワークの時間です。まずはアイスブレーク・タイム。お互いを知り合うために、椅子を山陰の地形の様に東西に長い楕円にならべ、それぞれの出身地域の辺りに座ることで、地理的距離を確かめ合い、更には、今の自分の気持ちを色に例え、同じ色の人とグループを作ったり、興味のある再生可能エネルギーごとにグループを作ったりすることで、参加者同士の理解を深めました。
アイスブレークの後は、今後展開したい事業案のある人からのショートプレゼンテーションです。山陰スクールからは、10人の皆さんから発表がありました。
・葦矢崇司さん(しまね自然と環境財団/島根県地球温暖化防止活動推進センター)
「働かなくても暮らせる生活 社会からも電力機関からもオフグリッターしよう」
・山本ルリコさん(特定非営利活動法人EVOフューチャーとっとり)
「地域の小さな商店街と一緒になって、元気のない商店街でひさしで太陽光発電などしたい」
・上園由起さん(鳥取県地球温暖化防止活動推進センター)
「エネルギーの自立地域を作る」
・庄司慎平さん((資)第弐商会)
「リタイヤ層の畑いじり+再エネ」
・勝部祐治さん((株)エブリプラン)
「手に手に木を持って炉へ運んで、熱と電気を作る」
・石倉昭和さん(協和地建コンサルタント株式会社)
「温泉をもっと活用したい。発電だけじゃなく、発電後のお湯を使って色々できる。熱を最後まで利用する」
・吉田誠司さん(有限会社吉田美術清泉庵)
「三瓶山まちエネ電力。スタイリッシュな薪ストーブのオリジナルを作りたい」
・高木章子さん(鳥取ふるさとUI会)
「寒いけど、掘ってみればHOT。掘ったところから出てくる熱を色々利用したい」
・櫛野伸介さん(三井造船株式会社)
「風車を漁港に建設して、漁協の安定収入に役立ててもらいたい」
・広瀬徹さん(有限会社ヒロセガス)
「スマートグリッドを展開したい」
プレゼンを聞き、その事業をしてみたい、支援したいという人たちによって、7つのチームが誕生しました。各チームともメンバー同士意気投合し、事業構想について熱く語り合う姿が印象的でした。
山陰スクールから誕生したチームはこちらです。
「まちエネマンション建設プロジェクト」
チーム名:市街地活性化
リーダー:山本ルリコ(特定非営利活動法人EVOフューチャーとっとり)
所得の少ない子育て世代や高齢者が安心して歩いて暮らせるマンション。太陽熱も太陽光も屋上緑化もすべてして、エネルギーは0、プラス作って売る。温泉が掘り当てれたら、熱も供給できるかもしれない。保育園やデイサービス、カラオケ、ジムもあるので、ジムでこいだ自転車などはすべて発電に回せる。
「有福温泉地熱発電+カスケード利用支援プロジェクト」
チーム名:有福地熱
リーダー:石倉昭和(協和地建コンサルタント株式会社)
江津市の有福温泉で地熱発電とその余熱を使ったカスケード利用という熱利用を使った地域づくりをしよう。技術的な事よりは地域でどのように広めて巻き込んでいけるかといった具体的なことを検討していきたい。
「3本の風車」
チーム名:3本の風車
リーダー:櫛野伸介(三井造船株式会社)
ビジョンは地域に貢献、山陰から全国展開。山陰で成功事例を作り全国展開に展開して行けたらと思っている。地域の豊富な海岸線を活かしきれていない。地域の資源は良い。地元の人と連携をとってなんとか漁港に風車を建設できたらと思っている。
「スマートグリットプロジェクト」
チーム名:エネおた
リーダー:広瀬徹(有限会社ヒロセガス)
スマートグリットは、色んな地域で実験的に行われているが、具体的に収益性が上がるといったような現実的なことには至っていない。それは技術的な事や様々な問題があるためで、それを解決するためにはいろんな分野の人と連携していかないといけない。その問題点を解決して、小規模でもいいから少しずつ実現させていき、収益性の上がる、実際に仕事として商売としてできるものにしていきたい。
「小さな効率的な安価な森のエネルギー活用プロジェクト」
チーム名:森のめぐみと人の輪
リーダー:勝部祐治((株)エブリプラン)
誰でも山の人であれば参加ができて、お金をかけずに、効率的なエネルギー量をみんなで考えていこう。それにどうやったらみんなを巻き込んでいけるか考えていきたい。
「薪ライフコンサルティング」
チーム名:サンベファイヤーウッド
リーダー:吉田誠司(有限会社吉田美術清泉庵)
薪を使った生活を色々提案できるような施設を作りたい。
「お・と・な・のオフグリットクラブ推進事業」
チーム名:オフグリッターズ
リーダー:葦矢崇司(しまね自然と環境財団/島根県地球温暖化防止活動推進センター)
分別のある大人を社会からドロップアウトさせる事業。よりドメスティックな感じで、自分のレベルでエネルギーを考え直して「一人できるもの」をキーワードに生活の中に取り入れられたオフグリッターを育成。ライフスタイルの変換と意識改革をする。せっかく地域にすばらしい自然資源があるので、こういったものを使って、エネルギーの自給自足を目指していきたい。目標として、まず島根県民の内、変人を1000人作るということを考えている。
これらの発表を受けて、最後に大和田先生からは「具体的な地名もあげられていて、色々な事業案がでてきて良かった。次回に向けて、実現可能性についてなど、調べてきて欲しい。オフグリッターズの「変人1000人」といったような目標も非常にユニークで良い。「ダウンシフターズ」という言葉を聞いたことがあるかもしれないが、「減速する生き方」という考え方で本が出てきている。「オフグリッターズになろうよ」といったムーブメントがここから生まれてくると面白いと思った」といったコメントがありました。
次回は、水上貴央弁護士を講師に迎え、事業展開上のリスクについて学びながら事業計画に磨きをかけていきます。