北海道スクール、8グループが最終回に発表へ

  • 2014.01.27
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1月20日、まちエネ大学北海道スクール第3回講座が開かれました。NPO法人再エネ事業を支援する法律事務所の会代表・水上貴央(たかひさ)弁護士を講師にお迎えした今回、北海道スクールで立ち上がった8つのプランに対して、先生からアドバイスをいただきました。
冒頭、地域ファシリテーターの加藤知愛さんが「まちエネ大学は、地域コミュニティーに再エネの事業主体がステークホルダーの違いを超えて、ネットワークをつくりながら立ち上げを支援する学びのプロジェクトだ」とのメッセージを受講生の皆さんと改めて共有した上で、北海道スクールのプランを特色ごとに4つに分類していただきました。

1.農村地域での再エネ
「当別町太美地中熱プロジェクト」 西村良伸さん
「大人のオフグリットリトリート」中渓宏一さん

2.都市圏・札幌での再エネ
「エネルギー自給・蓄電型パーソナルモビリティデザイン事業」 栗田敬子さん
「マンションでも再エネ省エネ」 古賀道子さん
「DCコミュニティーズ」 畔田俊彦さん

3.マーケット創造型
「チーム『もうけます』小型風力発電」 小坂栄成さん
「森と市街地をむすぶ(木質バイオマス)」 中村和喜さん

4.新しい政策づくり、市民啓発型
「北海道再エネ6次産業化計画」 新保るみ子さん

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これを受けて、水上先生からはまず、北海道の再エネポテンシャルに絡んで「北海道は広大なので送電線網の問題はあるが、全国の他地域と比べてポテンシャルが非常に高い地域だ(東北全県を合わせたぐらい)。事業をスタートするに当たって、お金を借りるのか借りないのか。借りるには様々な方法があるが、どのように調達するのかを考えてほしい」というコメントがありました。

また、事業プランの内容をさらに深めていく上で、こんなアドバイスもいただきました。

「みなさんの事業計画には「強み」がきっとある!事業計画をつくる際に、最初に整理することは「強み」を探すこと・考えることだ(例えば、土地があるなど)。一見、自分には価値がない・関係ないように見えるものでも、それが「強み」かもしれない。価値の再認識をしてみましょう」
「もしも事業計画に強みが1個も見つからないのなら、その事業はやる必要はないだろう。
また、内部環境に対して「弱み」とは、例えば経営資金が足りないなど。たくさん出して良いので、「弱み」があるかないかを挙げてみよう。弱みが何であるのか特定する作業が必要だ。弱みと思っているもののうち、解決できなくてはビジネスができない、というものをボトルネックという。ボトルネックなのか単なるリスクなのか、特定することで一つ一つの課題を解決してゆくことが必要だ」
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その後、ファシリテーターの加藤さんから「何かに迷った場合は、『事業を立ち上げ、持続するためには何が必要なのか』と、必ず最初に立ち戻って考えてみることを忘れずに。
北海道の地域に眠る潜在的な宝である資源の価値を把握し、質の高い、競争力のある、持続可能な再生可能エネルギープロジェクトスキームを立案してゆきましょう」との呼びかけを受けて、各グループのプランニングシートに基づいてリーダーが現状報告、水上先生からアドバイスいただき、それを参考にしながらグループディスカッションをしました。

その後、各グループから本日の成果を報告、水上先生から最終発表会に向けて取り組むべきポイントについて各グループにお話しいただきました。

「当別町太美地中熱プロジェクト」 西村良伸さん
石狩太美地区の地中熱を活用したモデル住宅。植物ハウスを設営し、冬期間の農業経営へとつなげ、生き残れる農業を。地域普及のため町行政と連携し普及啓発をはかりたい。
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水上「なかなかよく考えられているが、やろうとしていることがたくさんありすぎる。計画書はきれいだが漠然としているため、どこにポイントあるかはっきりしない。また、ものすごくお金がかかりそうだし、完成まで何年かかるのかがネック。行政側としても、かかる年月と予算の提示が必要だろう。事業計画には順番が大事。全部を一度に始めるのはムリなので、まずはなにから始めるのかを決めよう。すでに完成済みのハウスについて、それを拡大するのか、どこまで行政が関与するのかなど具体案を」

「大人のオフグリットリトリート」中渓宏一さん
キーワードは「オフグリット」。そこにあるもので、北海道ならではの自然のなかで、ドームテント、ロケットストーブ、森体験など、オフグリッドな暮らしができるビレッジを造成し、環境負荷の少ない世界をつくりたい。
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水上「やろうとしていることがたくさんだが、固定費がそんなに必要なさそうなので、失敗しても貯金がなくなるだけ。すぐにでも始めたらいいと思う。これは皆さんに言えることだが、失敗した場合のリスクとしては、残念に思うだけ、貯金がなくなるだけ、借金が残る、自己破産――の4つのレベルに分かれる。実際にやろうと思ったとき、どんなリスクがあるのかを考えよう。この計画では土地に関するリスクは軽減されているが、土地がなくなった時や、事故が起きた時のリスクはどうか。また、三笠でやっている限りはそこそこできるだろうが、効率的にお金をかけない集客をどうするか。いまの計画だと、中渓さん自身の労働力のみで運営。小さくやるなら成功するが、産業化するなど大きくする場合はどうだろうか」

「エネルギー自給・蓄電型パーソナルモビリティデザイン事業」 栗田敬子さん
災害時にも対応可能な蓄電型オフグリッド発電装置とベロタクシーをドッキングさせたシステムのデザイン。
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水上「ベロタクシーという言葉が、一般人には難しくてわかりづらい。「高齢者が使える電動三輪車」のほうがイメージできる。いくらで売るのか、メーカーに協賛してもらうかなど、考えてみよう」

「マンションでも再エネ消エネ」 古賀道子さん
マンション屋上やベランダ・入り口など共有部分を活用した再エネ&省エネマンション。管理組合を通じた合意の形成。全国都道府県別でマンション数を調べると、東京都と同じくらい札幌市が多い。とくに、中央区は約半数の51%が6階建て以上のマンションだ。共有部分を有効利用し、既存マンションに改修時等に太陽光発電を取り付ける。
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水上「現在、自身が住んでいるマンションのプロジェクトとしてやろうと思っているのか、または札幌中のマンションにそのアイディアを外販することを検討しているのか。どちちらにするかまずは決めた上で、いま住んでいるマンションのオーナーと話して具体的なノウハウをつくってみてはどうか」

「DCコミュニティーズ」 畔田俊彦さん
現在の家庭用電源AC100V以外での電気の小売り事業。風力やソーラーからの発電をDCとしてそのまま宅送するモデルをつくりたい。非常時の配電事業を中心に。売り先は学校や病院などの公共機関。電気料金については電力会社にはかなわないので、非常時の配電に特化した事業とすることで、多少高くても買ってもらいやすいところをターゲットにしたい。
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水上「一気に現実味が増した。日常的な電気だと割高になるため、このビジネスの成功ポイントは、日常ではなく「非常時」対応。例えば、最初からオフグリッドハウスだと必ず蓄電池が必要だし、対象はごくわずかな人口だろうが、そこの層を確実に押さえると成功するだろう」

「チーム“もうけます”小型風力発電」 小坂栄成さん
風でもうける!地域に還元できる小型風力発電商品の製作と販売事業。
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水上「ぜひもうけていただきたい!とはいえ、小型風力発電は普及していないのが実情だ。扱う電力が小さい・儲からないなど、何らかのボトルネックがある。なにか工夫できること、付加価値を探そう。土地などを借りる事になるとさらにコストが必要だろう。小型風力はもともと収益性が悪いが、せめて不利な部分である系統接続費用と土地代が安くできるなど、具体的な立地イメージがつくれたらうまくいくかもしれない」

「森と市街地をむすぶ(木質バイオマス)」 中村和喜さん
森林資源を活用した木質バイオマス発電と熱利用(地域の水産加工施設で利用、など)。森町を想定してプラン考える。
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水上「おおざっぱでもいいからどれくらいの規模かを出す。木質バイオマス発電は、原料の調達リスクが大きいためなかなか手が出せないが、調べるとヒントがたくさんある。
製材会社やすでに木材を扱っている業者の近くで始めたり、連携するとリスク軽減になるのではないか。林業関係者とのつながりを持つことが大事だろう」

「北海道再エネ6次産業化計画」 新保るみ子さん
道内に点在している自然エネルギープロジェクトを評価し、ネットワーク化する。その成果を地域の人を巻き込んで、地域活性化につながるイベントや商品開発、エコツーリズムにもつなげたい。
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水上「この事業は、これから再エネを始める人へのものか、これまでやってきた人へものなのかをはっきりとしよう。これから始める人のためだと、コンサルビジネス。これまでやってきた人への場合、集約した情報を発信するメディアビジネスに該当し、まったく違う事業となる。事業化するにあたっては、どちらにフォーカスするかは非常に重要だ。メディア事業なら、どんな情報がくらいの情報量ではいってくるのか。情報提供者は情報を出したら特をするのか。何かプラスになることはあるのか。タダで情報を提供するのか。積極的に情報を出したくなるスキームが必要だ」

最後に、資源エネルギー庁・村上課長からのビデオメッセージが上映され、次回の最終発表会までに「場所と人(キャラクター)と再エネの種類を網羅した具体例を、3つ考えてみてください」という課題が提示されました。この課題に基づき、ぜひ最終発表会では一段と深まったプランの発表を期待します。