第3回 まちエネ大学秋田スクールが開催されました

  • 2015.01.13

平成26年12月11日(木)、秋田市にぎわい交流館AUにて第3回まちエネ大学秋田スクールが開催されました。今回は「リスクを踏まえて始めるために今、できること」と題し、ゲスト講師・水上貴央弁護士(再エネ事業を支援する法律実務の会)をお招きして開催されました。

ファシリテーターは、おなじみの吉田さんです。

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まずは、前回からの課題である以下の点について。グループごと話し合ってきた内容について発表しました。

・「できること」と「やりたいこと」を分けて考える。

・(その上で)自分たちはどの部分を担うのか?自分たちの事業、自分たちの担う部分の「価値」は何か?

それぞれの発表に対して、水上氏から各グループの今後の議論の方向性についてアドバイスがありました。

引き続いて、他地域での事例として「滋賀・姉川上流域エネルギー自立圏構想」の映像教材を観たのち、参考として、あきた地球環境会議が本年度取り組んでいる「廃校舎グラウンド活用メガソーラー事業による、地域再生及び再生エネアートまちづくりに関する可能性調査」についての概要説明を受けました。

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そして、最終回の事業発表会に向けて、グループ別に事業計画を詰めるためのディスカッションを行いました。

ここで、水上氏から出されたテーマが2つあります。

(1)仮置きでいいので数値を設定すること

(2)事業の全体像を作って、自身でやる部分とそうでない部分を分ける

このセッションでは、水上氏だけでなく、秋田銀行、北都銀行の方々も各グループを回って事業計画の具体化へ向けた話し合いを進めていきました。

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最後に各グループで話し合われた結果を発表し、事業発表会へ向けて水上氏よりアドバイスを受け、事業化の進捗や議論の論点などを整理しました。

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======= 各グループのディスカッションのまとめ =======

【大潟村における籾殻を利用した地域循環と活性化(リーダー:角田伸一さん)】

籾殻を活用した「発電と熱利用」の事業だが、最初は熱利用から取り組みことにする。集落規模で農家から籾殻をあつめ、薪化し、地域に循環させる。協同組合がベースとなり、年会費を事務費用に充てることを想定している。課題は、事業性とスタートのきっかけ。

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水上氏からのコメント→

  • 熱利用に絞ったことで、具体性が帯びてきて実現しそうな雰囲気が出てきた
  • 小規模ボイラーがいくらかするのか、ボイラーは何軒に一つ割り当てるのか?を明確にすることで初期投資を見積ることが出来るので、今後、精査指摘必要がある
  • 重油と比較したときの籾殻のメリットを明確化すること
  • 籾殻を提供する農家やボイラーも持つ農家など、関わり方の違いで利益をどのように配分するのか、様々なバランスをみていく必要がある

【再エネを利用した冬スイカ栽培による農業の付加価値の向上(リーダー:大宮忠和さん)】

「太陽光発電」による売電益で、スイカを栽培する事業とした。規模は今後検討していきますが、総事業費5億として、自己資金を市民ファンドで5,000万(10%)集めたいと考えた(一口5万×1,000口)。配当は、一口につきスイカ10個/年(10,000個/年生産:ここの生産設備費用も必要になってくる)とすれば、回収できるのではないかと期待している。初期資金があつまるかどうかが、最大の課題と考えている。

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水上氏からのコメント→

  • 1.5Mの太陽光発電事業だと売電益で年間数百万は利用できる、といった試算が必要。
  • 出資と配当の仕組みを整理する必要がある。例えば、(スイカ10個の配当は多いので)元本は返さずに、3,000円のスイカを年間2個配当として返すような仕組みだと、20年間12万円分のスイカを返すこととなるので、出資者が集まるのかもしれない。また、自己負担比率の想定が低すぎるので、あわせ再考の必要あり
  • 販路が確保される、中間業者を介さない等のメリットにより、スイカ農家が協力してくれるかもしれない
  • メガソーラーの具体的な場所を見つけるのは相当難しい。

【バイオマスによる循環型農業と付加価値の提供(リーダー:仙北直樹さん)】

(タイトルとは大きく方向性が変わって)小水力発電事業に取り組む。由利本荘にある小林工業という会社が製作している小水力発電機を使って、農商工連携で模索されており(水をせき止めるとこもある)2級河川・鮎川を活用した事業を考えている。

水量や発電設備の設置の可否は、秋田県から聞くことが出来る可能性があるので、今後明確化していきたい。まずは、秋田県の支援事業などを活用し、実証実験事業をやっていきたい。

農業(ビニールハウスなど)や水産(鮎、カニ、エビ、いわななど)も可能性があり、橋や廃小学校にイルミネーションなどもいいと考えている。

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水上氏からのコメント→

  • 発電事業は、それ以外を分けなくてはいけない。発電規模が小さいので、発電事業だけで上手く行くかどうかが基本
  • 夢や可能性は、その後で考える

【地熱、温泉熱利用した発電事業(リーダー:伊藤一信さん)】

噴出量などスペック調査を行っている。最終的には2~3MWを目指して、まずは500kWからスタート。O&M費、所内電力等を試算してみると、初期費用の回収も可能でないのかと考えている。カスケード利用もしていきたい。

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水上氏からのコメント→

  • 段階を踏んで500kWからスタートというのがリアリティあっていい
  • 数値は仮置きでいいので採算性の試算をすること(黒字事業となれば、それがモチベーションにもなる)
  • 発電と熱利用カスケード利用のスキームを図示できるように

【秋田エリアでの風力発電の推進(リーダー:松浦彗さん)】

大規模風力発電を進めていくにあたっての、地域理解を得るための啓蒙活動。より多くの小規模風車を作って、便利なものだということを伝えていく。例えば、住宅用に小型風車で屋根の融雪利用(小型の垂直風車200-300w(5~10万円)+融雪装置代で導入可能)。この他、誘導灯利用や、小学校の環境教育なども視野。

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水上氏からのコメント→

・小型風車と何を組み合わせるといいのかを色々考えるといい

・(リーダーが所属する)ウェンティジャパンがマーケティング費用として出資したくなるような事業であれば実現可能性が高まのではないか(イメージはウェンティイジャパン社長へのプレゼン資料を作る)。

※ 再エネ景観の付加価値の創造(リーダー:土井卓さん)は、この日はグループメンバーが集まれませんでしたが、最終回のプレゼンテーションに乞うご期待!

次回は、本日のアドバイスを活かした、より事業性の増したプレゼンテーションに期待です。