秋田スクール第2回講座、多様な再エネを軸とした事業プランを議論
- 2014.10.14
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2014年10月2日(木)アキタスクエアにて、第2回まちエネ大学秋田スクール第二回講座が「再エネビジネスのパイオニアに出会う」というテーマで開催されました。
第2回講座は、前回の第1回講座から新たに1グループを加えた6グループに分かれてスタートしました。
- バイオマスによる循環型農業と付加価値の提供
- 大潟村における籾殻を利用した地域循環と活性化
- 再エネ景観の付加価値の創造
- 秋田エリアでの風力発電の推進
- 再エネを利用した冬スイカ栽培による農業の付加価値の向上
- 地熱、温泉熱利用した発電事業
まず、NPO法人北海道グリーンファンド理事長鈴木 亨さんより「事業会社とファイナンスの基礎知識」と題して講演いただきました。
鈴木さんが携わってきた市民ファンド、グリーン電気料金制度、省エネ普及啓発事業といった事業の紹介に引き続いて
・事業主体の種類・特徴(NPO法人、株式会社、特定目的会社)
・ファイナスの種類・特徴(金融機関融資、資本金出資、メザニン出資、市民出資、補助金)
について解説いただき、初期投資の規模や利益の配当など、事業内容や特徴に応じた選択が必要であるとのことでした。最後に、先まで見通した事業計画づくりの重要性を参加者へのメッセージとしていただきました。
会場からは、「再生可能エネルギー発設備の抵当申込に対する回答保留」についての見通しについての質問が寄せられました。これに対して、鈴木さんは「地域間連携線の活用、変電所への蓄電池の設置等の動きで出てきているので、時間がたてば再開するのではないか」「再生可能エネルギーの中でも安定的なものについては回答再開が早い可能性はある」とのコメントをいただきました。
休憩を挟んで、各グループの事業について、SWOT分析を行い、そこから事業プランを練っていくグループワークとなりました。講師の鈴木さんの他、秋田銀行、北都銀行の方も各グループに参加し、白熱した議論が展開されました。
グループワークの締めくくりとして、各グループの成果発表が行われました。各グループで検討された内容と鈴木さんからのコメントは以下となります。
グループ①バイオマスによる循環型農業と付加価値の提供(リーダー:仙北直樹さん)
(方向性を変えて)小水力発電による売電益を農業に使う事業となりました。農業による雇用が生まれるメリットがある一方で、水利権や初期投資の問題をクリアしていく必要があるとの認識を共有しました。
鈴木さんコメント:残り2回で収支を成り立たせる検討を進めてほしい。
グループ②大潟村における籾殻を利用した地域循環と活性化(リーダー:角田伸一さん)
『籾殻をつかって電気とお湯を作る → 発電した電気とお湯を地元でつかう → 余った電気を売る → 籾殻の灰(シリカ成分)を田んぼに還す』事業内容に関して共有しました。
鈴木さんコメント:どのくらいの籾殻が出てくるのか把握することが重要で。また、重油代替としての熱利用の可能性について、カーボンオフセットと合わせた事業モデルについても検討の余地がある。
グループ③再エネ景観の付加価値の創造(リーダー:土井卓さん)
発電にとらわれずに、水車による景観づくりにこだわった事業。水車による景観美を追求する他、肩たたき等が出来る空間を提供する。製作・メンテナンスは、高校生によるワークショップにて行う。
鈴木さんコメント:委託や補助金による子供たち参加の普及啓発事業としてはどうか。山梨県都留市で同様の事例がある。
グループ④秋田エリアでの風力発電の推進(リーダー:松浦彗さん)
事業を進めていくうえで注意すべき点について共有しました。例えば住民の理解を得ながら進めてく、乱流に対してどのようにブレードの設計方法を産み出していくかなどです。
鈴木さんコメント:乱流は海岸線よりは山の上で起こりやすい。住民理解については、如何に当事者として巻き込んでいけるかが重要なポイントだ。
グループ⑤再エネを利用した冬スイカ栽培による農業の付加価値の向上(リーダー:大宮忠和さん)
事業構想についてメンバー内で共有を図りました。市民出資により発電事業を行い、売電益でスイカ栽培し、冬に出荷する事業。出資者にはスイカを配当する。発電事業者兼農家で農業振興も図りたい。
鈴木さんコメント:2班の籾殻を活用した事業と連携できないか。また、出資者への配当としては地域振興券・温泉利用券といった事例がある。ファンを増やすことが大切。
グループ⑥地熱、温泉熱利用した発電事業(リーダー:伊藤一信さん)
グループの一人が温泉とその周囲の土地を所有していることから、これを活用し、バイナリー発電~温泉利用~農業や漁業というカスケード利用する事業について検討、共有しました。
鈴木さんコメント:事業化の可能性がかなり高い。今後、温泉の利用券を配当とするなど、資金集めに工夫の余地がある。
最後に、次回の講師である水上貴央さんから、ビデオメッセージにて以下の点について考えてくるように“宿題”が示されました。
- 「できること」と「やりたいこと」を分けて考える。その上で、自分たちはどの部分を担うのか?
- 自分たちの事業、自分たちの担う部分の「価値」は何か?
次回のまちエネ大学までに自主的に集まるグループもあるようです。
今回の鈴木さんからの講義内容・アドバイスをどう活かすか、事業プランの具体化が楽しみです。