北海道スクール第1回、札幌で開催

  • 2013.11.29
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北海道スクール第1回講座も、去る11月20日に行われました。広い北海道内各地から、受講生の皆さんが札幌に集結。熱い学びの場が始まりました。

講座の冒頭、「本気で再エネ事業を検討していて、まちエネ大学で事業計画の作成を最後までやり遂げたい」と考えているかお尋ねしたところ、6名の受講生が挙手してくれました。これからの展開がとても楽しみです。

講座の最初は、資源エネルギー庁新エネルギー対策課長・村上敬亮さんのお話。全国5ヵ所のスクール向けのプレイベントを終えての感想の後、「事業を始めるには意見の違う人たちともやっていこうとしなければならない。日本の民法は、『事業』について『反復継続すること』と定義している。 常に一定してきちんとした収益をあげる、再エネ事業もそうならなければならない」と、講座の狙いをお話し下さいました。

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その後、映像教材の内容を踏まえた再エネ基礎知識のポイント解説をいただきました。これを受けて、受講生からは「(家庭向け電力自由化に備え)建物間で電気を融通し合えるようにするには何が課題なのか」「FITの設備認定を受けたのに運転開始したのが全体の1割しかないというのはなぜか」などの質問が出ました。これらに対して、村上さんは「(電力会社から電線を借りて融通し合う)自己託送という制度があるものの、現状では価格が非常に高い」「ドイツでは、発電設備の運転開始時点で買い取り価格が決まるが、日本ではそれでは融資が得られないという批判があり、運転開始前に決めている」との説明がありました。

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その後は、北海道地域の再エネビジネスのパイオニア、NPO法人グリーンファンド理事長 の鈴木亨さんからお話いただきました。ほかのスクールの皆さんにもぜひ知っていただきたい内容でしたので、以下に再録させていただきます。

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再生可能エネルギーのことや機械、金融のこともまったく分からないまま事業を始めた。当時、生活協同組合を担当しており、食の分野では安心安全のベースができていたが、エネルギーではまだ仕組みがなかった。消費者からの提案を受けて電気の共同購入を考案、発電事業者になることを決意して退職、法人を立ち上げたのが14年ほど前になる。周囲からは「できるわけがない」とさんざん言われた。
 消費者団体にいたので購買力、購買者を束ねることはできる。それを活かして、電気料金の中から5%をファンドにしようと考え、自分たちで電力をつくってゆこうと市民ファンド立ち上げた。
 当時は、NPO法人の信頼は低く、金融業者からは融資を断られ続けた。ある日、とある銀行から、総事業費コストの2割くらいがあれば話を聞きますよと声をかけられた。1000キロワットを生み出すには約2億円かかると聞いて、では、6000万を集めてみようと動いたのがファンドの始まりだった。当時は「ファンド」という言葉も一般には浸透していなかった。
 2001年9月に1号機が発電開始、現在は16機が動いている。累計の出資額は24億円、1人あたりの出資額は60万円で、約4000人の皆さんからご出資いただいた。
 謙虚でさえいれば、まわりの人が助けてくれる、信用してもらえる。ネットワークつくり、広げ、軌道にのるまで10年くらいのスパンが必要だし、ある程度の儲けも必要だ。ひとつのものに関わるには立場が変わればいろんな見方があるし、営利非営利に関係なく、事業を進めるにはバランス感覚が必要だと思う。

<運営方法の事例>
株、NPO、LLP、合同会社など多々あるが、自分に合ったものを選択しよう。
<事業計画>
資金調達、資本金、出資、補助金、ローンなどをうまく組み合わせよう。
<資金計画>
開発段階(一番お金がかかる、自分たちの資金のみ)〜建設段階(機材発注、つなぎ融資、ローン)〜運用段階。いろんな場面でお金がかかるので、そこを押さえることが大事だ。
<商法535条:市民出資についての匿名組合についてのそれぞれの説明を列挙>
不特定多数の人から出資を募るためには、取り扱い方が異なる様々なコースがあるので、そこも自分に合ったものを選択することが必要。

事業計画、資金調達計画はきちんとしたものが必要。とても大切なポイントなので頑張ってほしい。

休憩を挟んでの後半はグループワーク。再エネをめぐる制度の話や、パイオニアの鈴木さんのお話を聞いて何を考えたかや、ご自分の事業の現状と課題についてグループで意見交換していただきました。

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「北海道スクールのファシリテーター、加藤知愛さん」

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その後の全体共有では「太陽光の設備を施行、販売、マッチング、オーナなど、すでに事業展開しているメンバーが多い。事業者側の立場で話し、管理者の要望をきき、事業展開が可能なチームだ。太陽の次に展開するものを考えてゆきたい、それは小型風力かもしれない」(第3グループ真田さん)「北海道の冬は大変厳しい。緊急時・災害時のことも考慮し、再エネ電気を蓄えられる蓄電システムを考えたい」(第4グループ中渓さん)など、短時間ながらも密度の濃い意見交換の様子を発表していただきました。

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講座の最後には、札幌在住で『できた!電気代600円生活』(北海道新聞社)という著者もある、笑エネ作家・はらみづほさんから、次のようなメッセージが受講生の皆さんに送られました。

北海道生活は9年目。現在契約アンペアは5Aで生活し、電気料金230円くらい/月額で、心豊かなリッチな生活をしている。世界中を旅してきたが、日本みたいに贅沢に電気をつかっている世界にはほかにないと感じている。エネルギーがお金になるから、その資源を牛耳って奪う働きが戦争につながっている。どんな種類のエネルギーを使うか、考えましょう。日本にも北海道にも発掘の機会が少ないだけで、まだまだ知られていない資源はたくさんあると思う。生活者レベルで考えなければならない、その想いを広げてゆく必要がある。

また、まちエネ大学と同じGreen Powerプロジェクトの仲間である「わたしたち電力」の鈴木菜央さん(ウェブマガジンgreenz.jp発行人)からは、わたしたち電力をご紹介いただいた上で、「オフグリット、小さなパネルでの手づくりの発電を支援している。現在は、(最初に始めた)藤野電力のほか、鹿児島電力など各地で動きが出始めている。それぞれの電力をつなげてゆきたいと思っています」とお話下さいました。

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「わたしたち電力の鈴木さん(左)と、笑エネ作家のはらさん(右)」

第2回講座は、ゲスト講師に大和田順子さんをお迎えして、地域の特性と資源を活かして事業をおこすヒントを学んでいきます。