京都スクール 3グループの事業計画がより具体的に
- 2015.02.02
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2015年1月26日(月)、冬にしては暖かい小雨の降る中、第3回まちエネ大学京都スクールが開催されました。今日のテーマは「リスクを踏まえて始めるために今、できること」。今日もファシリテーターは下村さん南村さんのコンビで始まりました。スーパーまちエネ大学で東京進出も果たした南村さんの「パーでんねん」です。
事務局の木村さんから、先行して行われている他地域のまちエネ大学の様子のお話がありました。本日の講師は、全国各地で再エネの法律的側面からの支援を進められている水上貴央弁護士です。
水上先生からは、
- プランはまず、具体的に検討してみることが必要。その後でまた直してもいい。
- 今日のグループディスカッションでプランを形にすることが勝負どころ。
- やりたいことはきっとみなさんたくさんあるのだと思うが、一番やりたいこと、その次にやりたいこと、という風に優先順位、そしてそのための費用を明確にしてほしい。
- 「できないかも」と思いながらプレゼンすると説得力に欠けるので、「俺はできる!」と思ってプレゼンしてほしい。
水上先生のお話の後、京都スクールで形成された3グループから、それぞれの事業プランについての検討状況が報告されました。
「衣食住をシェアする暮らしのコミュニティ」(李勇熙さん)
洛西地域で、「みんなの家」を実現したい。食やエネルギーの自給をすすめながら、いろんな世代の人々が様々なものを共有する。桂地域でモデルをつくりながら、ゆくゆくはいろんな町内に広げていきたい。DIY可能な古民家を借りて実現したい。
→ 水上先生からのアドバイス
場所や広さや活動内容など、プランを具体化する中で、どれだけの費用がかかるかがイメージできるので、実際にやろうとするつもりでプランを考えてみてほしい。
「みどりパワーセンターをつくろう」(今谷浩昭さん)
交野市環境基本計画にもとづいてぶれずにやっていきたい。エネルギーを賢く使うということを体験学習できるコミュニティセンターをつくりたい。交野市がもっている土地をうまく活用できれば。どんなリスクがあるのかを教えてほしい。仲間をもっと増やしていくことが必要。
→水上先生からのアドバイス
太陽光発電は基本的には今の制度を活用して事業として実現可能だが、コミュニティ施設を建てるということになると、大きな投資がかかるし、そこで投資回収するということは難しい。建物を建てる必要があるかも含め、検討してほしい。
「美山里エネプロジェクト」(神田貴夫さん)
小水力発電で利益を上げて、地域の公民館活動等を支援していきたい。バイオマスも活用して地域を活性化していきたい。河川を利用するにあたっては地元合意をどう作っていくか。関わってくれる地域の人材を確保する。雇用の促進。
→ 水上先生からのアドバイス
すでにどの川でどの規模の発電をするかが決まっているとすると、キャッシュフローの検討と、収益を活用してどのような地域貢献を行うかを同時に進めていく必要がある。水利権を取得するには地元合意が必要。地元貢献は地元合意を導くための重要な鍵になる。この場では、仮に年間の収益を年間150万なりと想定して、そのお金でどのように地域に貢献するかを考えてもらうといいと思う。
皆さんにプラン発表会のイメージをもってもらうために、去年の滋賀スクールの様子が紹介されました。米原・伊吹の嶋野さんの去年の発表の様子です。
伊吹ではその後も、事業会社を立ちあげられ、小水力発電事業実施に向け精力的に準備を進められています。水上先生のコメントを受け、グループごとに分かれてファシリテーターも交え熱いディスカッションが交わされました。
その結果は・・・
「衣食住をシェアする暮らしのコミュニティ」チーム
- 7〜8世帯が暮らしをシェアできるスペース
- 空き家の所有者と利用者と地域がWin-Winになる仕組みづくり
- 太陽光発電費用、空き家改修費用の積算と資金調達計画、収益をどう得るかはまだ決まっていない。
→水上先生
- 今日の時間でだいぶ話が進んでよかった。
- Win-Winの仕組みを考えられているのが良い。
- 利用したい人がどれだけいるのか、どれだけの額利用者が負担してくれるのか、その収益で回していけるのかを見極める必要。
- 太陽光発電を設置する事のメリットを考えられると、まちエネ大学的にはより良くなる。
「みどりパワーセンターをつくろう」チーム
- 市が保有している、里山に隣接する広大な空き地の活用方法が手付かずになっている。
- ここを自然などの体験学習ができるスペースとして活用するべく、そのための作業小屋を設置する。
- 作業小屋の屋根に小規模の太陽光発電を設置して、防犯灯やパソコンの電源、また非常時のコンセントを設置する。
- 小屋代と太陽光発電合わせて300万円〜。資金調達をどうするかを検討課題。
→水上先生
- 市の土地の目的外使用許可の場合は、市から土地を借りる契約上のリスクは小さい
- 市から設置の仕様についての注文はつくことがある。
- 当該土地の活用法についての市の意向の確認は必要。
- 寄付で数百万のお金を集めるか、もしくは利用料をとるなど稼ぎを考える必要。これが大事。
「美山里エネプロジェクト」チーム
現在30kWほどの小水力発電設置を検討しており、その想定では年間150万円ほどの利益が上がりそう。それを前提に地域振興を考えていきたい。
- 廃校となった小学校を活用したイベントの創出
- かやぶきの里への観光客を水車と廃校活用レストラン・宿泊施設に呼びこむ
鶴ケ岡は5つの集落に分かれるので、集落間の合意形成が課題。市民ファンドをどう活用できるか。
→水上先生
- ファイナンスさえできれば可能性はある。
- 市民ファンドは、事業のIRRが3%くらいあれば組めるが、出資者に配当は必要。
- 近くにそれだけ観光需要があるというのは間違いなく強みである。コンテンツさえあれば人は呼べる。小学校の廃校という箱物もある。
- それで、地域にお金が落ちるだけでなく、自分の商売も儲かることになるよねというのはモチベーションとして大事。
- 次回の発表会では旅行会社にアピールできるツアーパンフレットみたいなものをぜひ作って欲しい。
最後に改めて水上先生から参加者に熱いアドバイスがありました。
プロジェクトに参加したい、関わりたいと思えるプレゼンができれば勝ち。ぜひユーザー視線で考えてほしい。後の数字はプロに相談すれば出てくる。「これだったら、俺もやりたい!お金も出したい!」という、コストを上回る価値をぜひ創出してほしい。
次回は2月17日、いよいよ最終回のビジネスプラン発表会です。(了)