神奈川・横浜スクール最終回 食品残さを利用したバイオマス発電が優秀賞!

  • 2015.02.03
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横浜スクール最終回となった2015年1月19日。たまプラーザのプラーザホールにて、受講生が各グループで7ヶ月間育んできた事業計画の最終発表が行われました。事業計画のプレゼンの後、審査員と受講生全員による内容の審査と投票が行われ、優秀賞が選ばれます。

横浜スクールでは、以下3名の方に審査員を務めていただきました。
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・山口勝洋さん(サステナジー株式会社代表取締役)
・住吉征雄さん(横浜信用金庫融資部企画営業支援チーム調査役)
・渡部伸仁さん(経済産業省資源エネルギー庁再生可能エネルギー推進室長)

受講生は、各グループのプレゼンが終わった後、「ここが良かった」「こんなこと手伝えますよ!」という”ギフトメッセージ”をそのグループ宛に書いて、そのグループの模造紙に貼ってプレゼントします。

<各グループの発表と審査員コメント>


「川崎市内での市民電力発電所の普及拡大」(川岸卓哉さん 代理:田中哲男さん)

【事業概要】DSCN1794

私たちのミッションは、 「市民による、市民のためのエネルギー革命」 。 NPO法人原発ゼロ市民共同かわさき発電所を立ち上げ。私たちの強みは、20代から定年した人まで多様な人材がこのNPOに理事として参画していること。

1号機は800万円の出資を個人の有志34人から無利子で集めた。「脱原発ならば、出資する」という人がいる。2号機は場所も決まり、見積もりも取ったが、あと500万円をどう集めるか検討中。

システム規模は24.00kW(250W×96枚)で初期年間発電量は27,640kW。設置10年後と15年後の2回に分けて疑似私募債を返還。今後、オフグリッドをどうするかが課題。脱原発イベント、オフグリッドのイベントなども開催していく。同時に、政策提言や川崎市に再エネを推進する条例の制定も要望していく。

山口さん:今後継続的に経済性、常勤スタッフの人件費、金融機関の世界の素地を持ってくるなどすると、今と違うやり方になっていくので、2号機目以降方向性をどうするかが大事。しかし1号機を、既に熱い思いで立ち上げたことは素晴らしい。

住吉さん:800万円を集めたというのはすごい。今後事業として継続させていくためには、いかに出資者の人に金銭に限らずメリットを出し還元していけるか、を発展させていけると、いい事業につながると思う。

渡部さん:事業・ビジネスとしての持続可能性を考えたときに、1号機の時は固定価格買取制度でということであったが、今後はFITによるものだけでなく、独立型という選択もあり得るのではないか。


「東京都町田市内での市民電力発電
所の立ち上げ」(入澤滋さん)

【事業概要】DSCN1804

原発事故、計画停電、物流停滞などをきっかけに「コンセントの向こう側」を考えるようになった。持続可能な社会をめざすために、地域にあるもので市民が自らの手で発電したい。

これまで、ミニソーラーで自家発電ワークショップを実施したり、エネルギー問題を考える映画上映会を開催したり、幼稚園での環境教育を実施してきた。今後は、幼稚園の屋根を借りて太陽光発電や、大型商業施設の屋上の風を利用しての小形風力発電で、町田電力は発電事業を目指す。総容量は64.74kW(太陽光発電:45.9kW)(小形風力発電:18.84kW)で自己資金は500万円、融資3500万円(自己資本率12.5%)。

投資回収は20年でできると計算しているが、2015年の買い取り価格がまだ決まっていないので、太陽光の売電によるリスクもある。地域のつながりが強み。

山口さん:風力は地面に近いほどエネルギーが減衰するのが基本。小型であるがゆえに経済性は難しいので、ビルに設置するなら建物の強度など、相当な詰めが重要。地元産品を戻すというだけで1千万円を集める事例もあるので、形態にこだわらず追加検討いただければと思う。

住吉さん:幼稚園と太陽光は相性がいいと思う。幼稚園で横展開できればいいなと思う。固定買取価格でかなり事業評価が変わるので、制度に左右されない事業モデルが立てられればいいと思う。融資を考えるなら、耐久性や発電能力については、低くても採算が取れて返済ができることを目指して計画を立ててください。

渡部さん:買取価格については、来年度の価格決定に向けての委員会が始まったばかりなので、今しばらくお待ちください。活動の中で幼児向け環境教育や市民向け啓発活動は大事な活動だと思う。

「商業施設での官民連携による再エネ普及事業の新アイデア」(水津和幸さん)

【事業概要】DSCN1808

再エネ発電事業ではなく、再エネ普及事業。NPO法人『再エネ de 街づくり』を立ち上げ、そこを核として、再生可能エネルギーの普及・啓蒙事業の推進をする。「商業施設」におけるイベントをNPOがハブ組織となって企画立案をし、再エネ普及活動に理解のある「企業」と協働し、活動に意義を感じる地域の「自治体」を巻き込み、活動に共感してもらえる地域の「団体・組織」と連携する。

企業CSRとして、例えばメンバーの勤め先関連の三井ショッピングパークイベントとの連携など、商業施設内でワークショップなどのイベントを開催していき、地域エリアでの動きと連携して行きたい。活動資金は当面、協賛企業のCSR予算(一部行政の補助金)からの拠出で対応する。持続的に活動資金やボランティアを確保するのが課題。

山口さん:おっしゃった通り、持続的に活動資金を確保するのが課題。一緒に担いでいけるような事業者と協力関係を築くというのが、現実的かもしれない。

住吉さん:三井不動産さんの協力をいかに得ることができるか、これがキーとなると思います。行政との連携をどのように築いていくか、ここにも、もし三井不動産さんの協力が得られるといい。

渡部さん:再エネを、一過性のものではなく地域に定着させたい、再エネ分野に参画する人々が自動的に拡大していくようにしたい、というのは、我々の思いでもある。事業として考えた場合には企業CSRの方を深堀りしていかれるとよいと思います。

「横浜・大倉山での発電プロジェクトの立ち上げ」(肥後貴美子さん 代理:澤幡知晴さんと余川暁信さん)

【事業概要】DSCN1812

商店街と市民が連携して、ソーラー発電と養蜂をビルの屋上で行う、という都市型ソーラーシェアリングの計画。大倉山は、東急東横線沿線のまち。梅林公園や鶴見川、住宅街に畑、千年以上の神社、と自然も多い。2010年からここの商店街で「大倉山みつばちプロジェクト」の計画があり、猛暑やビル風からみつばちの生育を助けるために、巣箱の日よけや風よけとしてソーラーパネルを設置する。

総発電容量は3.06 kW(18枚)、年間発電量4,000 kWh、初期費用は200万円(商店街出資が100万円、個人からの寄付100万円)。

出資者へは、養蜂でできた蜂蜜をプレゼント。横浜市のふるさと納税制度に、温暖化防止サポーターという制度があるので、税金の一部免税できないかも考えている。大倉山振興会館「おへそ」の1階にイベントスペースがあり、そこで再エネ普及啓蒙活動・交流や、放送局があるのでみつばちプロジェクトの宣伝ができる。農大や、養蜂をまちづくりの一環として行う銀座や江古田とも連携して、PRや共通の問題解決をはかっていきたい。事務局運営費やデザイン費などをどう賄っていくかが課題。

山口さん:消費が多い都会の中で、食べ物を生産するというのはとても夢がある。まずは第1号を寄付金でやってみて第2号から展開するときに、1号での経済性をみて徐々に金融機関に相談するというのでもいいのでは。まずは実現させてください。非常に楽しみなプロジェクトです。

住吉さん:ミツバチと太陽光発電はどういう関係があるのかな?と思ったが、ぱっと絵が浮かんでくる、地域おこしの住民を巻き込んだ循環型の面白いプロジェクトだと思いました。実際に建物もあり放送も使え、蜂蜜も大倉山ということでブランド化もでき、地域の人がみつばちを意識して花を植えるようになる。事業としてというと、どうやって収益をと思うが、ぜひ地域のためにやっていただきたい事業だなと思いました。

渡部さん:ツバチとソーラー発電の組み合わせが面白いです。還元を、お金ではなくはちみつで、というのは絵が浮かんできて、メッセージ性としてもいい。ブランド化や商店街との関わり、地元への発信や巻き込み方なども、よい着眼点だと思いました。これからが楽しみです。

「茅ケ崎市内での食品残さ等を使ったバイオマス発電」(通称「チェコプロ」)(菅野恒宏さん)

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仕事柄よく目にする食品廃棄物やフードロスの問題、食品残さを有効活用したい、という思いが強く、それを再エネに結びつけることができたらということで、発酵バイオマスによる事業化を計画している。日本国内で排出されている食品廃棄物は、年間1700万トン。うち再利用を除く1300万トンは、焼却や埋め立てに回されている。

食品工場で出る食品残さを使って、工場内でバイオマスプラントを設立する。食物残渣 4.9t/日、発電機 50kW、1,200kw/日 初期設備投資3億円。企業としては、廃棄物処理費用を浮かせるファイナンス上のメリットもあり、環境教育やイメージアップもでき、肥料としても販売でき、工場の臭気も削減でき、熱源を用いて温室栽培野菜などもできる。企業CSR活動の広がりにもつながる。

地域の小学生がその食品工場見学に行ったときを想定した、企業が紹介するイメージ紙芝居を披露。

山口さん:スタートとしては非常に現実性がある。バイオマスは全国的にもまだまだこれから可能性があり希望がある。熱を買ってくれる人がいるのか、通年で熱計算がどうなのか、材料供給者どこまでを範囲とするか、全体の経済性をどうするか、などをもっと具体的に詰めていただければ、リソースのある方々なので楽しみな事業に仕上がっていく可能性が高いと思います。

住吉さん:もう既に事業をされていて産廃収集をされている方なので、心配しないでいいのかなと思いました。地域の循環型社会という形では将来性がある事業だと感じました。

渡部さん:非常に大掛かりな夢のある事業だと感じました。原料の安定的な調達、ここを押さえるのがポイントです。

「たまプラーザでの市民電力発電所の立ち上げ」(梅原昭子さん)

【事業概要】
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ネガワット+シェアでほのぼの節電所プラン。たまプラーザぶんぶん電力コンシュエルジュ事業。

「節電所」とは、省エネリフォームされた施設のこと。新しく節電所という施設を作るのではなく、市民の力で人が集まる場所で、省エネ機器を導入し、いまある施設を「節電所にリフォーム」する。節電分は発電したことと同じ価値がある。暖房/冷房/給湯/照明別に、松竹梅の3段階で提案。メンバーの関わる施設で蛍光灯36W型 236本→ 18wLEDに交換、年間電力使用量12,300kW→6,150kW削減、年間電力料金196800円→98,400円削減。

初期投資額約50万円は5年~10年で回収。取り替え工事をイベント化すると、工事がタダでできるし、人とのつながりもできる。すでにこれまでイベントを開催してきていて、発信力とデザイン力があるのが強み。

山口さん:最初自分たちだけで専門性が少ない場合には、省エネ機器販売で付き合ってくれる業者を探すのもポイントかもしれない。一定の成果補償で契約するとかで、徐々に専門性をつけていく。取り付け工事をユーザや地域でやるという案、初期費用にもならず、地域に残るいいモデルになりうると思います。

住吉さん:FITでの価格が今後どうなるかわからない中で、発電モデルではなく省エネモデルにもっていったのはいいと感じました。コンサルで収入に結びつけるというのは難しいと思うが、地域の省エネを推進するところに市民を巻き込みながら起爆剤のようにやれたらいいと思いました。

渡部さん:コンシェルジュ事業の中で、松竹梅のメニュー説明が、レベル感がわかりやすく、言葉も伝わりやすいまとめ方だと思う。貴重な取り組みだと思うので、工夫をして横展開していけるといいと思います。

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プレゼンが一通り終わった後は、いよいよ参加者の皆さんと審査員による投票タイム。投票の結果、食品残さを利用したバイオマス発電(”チェコプロ”)が優秀賞に選ばれました!

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リーダーの菅野さんは「ここで半年前に皆さんと知り合って、再エネの知識をここで得ただけでなく、人間としてもステップアップできたと思います。今日で最後ですが、これっきりというのではなく、これからもお互いの進捗状況をチェックし合ったり、お互いの事業を応援し合えるような仲間として、お付き合いさせていただければと思います」と挨拶をされました。

その後、受講者の皆さんに修了証が審査員より手渡されました。

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審査員の方々からは以下総評をいただきました。

山口さん:大変素晴らしいプレゼンで刺激になりました。大都市なので、消費する側から省エネなどでエネルギーを考えるというところ、また人材が豊富でさまざまな人が問題意識を持ち参加していたと思います。メガソーラーでいくらお金を生み出して、という従来の考え方ではなく、つながりを生み出すというみなさんの強みは、私も勉強になりました。ぜひみなさんも実践に踏み出して、今後共有しながらやっていけたらと思います。

住吉さん:省エネ・節電・地域の循環型エネルギー供給、非常に熱い思いを感じて感動しました。事業化に向けてそれぞれいろんな段階がありますが、夢を持たせてもらえるようなプランで、個人的にも応援させていただきたいと思います。私も大変勉強になりました。

渡部さん:まちエネ大学でこうやって出会いプロジェクトを立ち上げて、今後どう育てて詰めていくかというのも大事ですが、ここからどういう形で横展開していくかも大事だと思います。その中で絶えず考えていただきたいのは、地元や地域の人たちとの関係、また金融機関や行政をいかに巻き込んでいくかということです。去年のまちエネ大学の事前学習映像にもありましたが、進めて行く上でぜひいろんなネットワークや知見も活用していただきたいと思います。

また、取材に来られていたgreenz.jpの鈴木菜央さんに、急遽お願いしてコメントをいただきました。DSCN1855

「全国のこういった様々な事例を取材しているが、今日発表を聞いてすごいな、確実にネットワークしているなと感じました。去年までは、こういったことに興味がある人たちの中で、都市でできることって限られているよね、という感じがあったが、最近は都会にも資源がいっぱいあるよね、というふうに変わってきています。都市には田舎にもない強みがあるし、今回は可視化・イメージしやすい事例が多かったです」

終了後の懇親会は、たまプラーザの「3丁目カフェ」さんで行われました。木調のとても素敵な空間で、受講生の方の関わる障がい者施設で作られた手作りのごま豆腐などもいただきながら、今後の展開や夢などを語り合いました。みなさん、大変お疲れさまでした。