仙台スクールは7グループが事業発表へ

  • 2014.12.26

12月12日(金)、まちエネ大学第三回講座が七十七銀行本店会議室で開かれました。まずは、今回の講師・水上貴央弁護士から出ていた宿題について各グループで5分ほど話し合い、発表しました。前回、水上先生から出ていた宿題は以下のとおり。

「みなさんの事業の「価値」は何ですか?」

・できることとやりたいことを分けて考える。その上で自分たちはどの部分を担うのか。

・自分たちの事業、自分たちの担う部分の「価値」は何か?

各グループからは以下のような発表があり、それに対して水上先生からは、この日の後半に集中して議論してもらいたいポイントについて各グループにお話しがありました。

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「再エネ(太陽光と風力)を使った地域防災街灯システム」グループ

 被災地の通学路に再エネの街灯などを設置したいが、実際に重要があるのかどうかを調査し、その後街灯設置のための助成金申請や設置申請、設置する作業等ができる。被災地での防犯街灯の設置から商店街での設置、さらには売電までいけるとベスト。メンバーに設置事業者がいないので、具体的な実施計画・資金計画をしていきたい。再生可能エネルギーの街灯を寄付するなどの事例もあるが、大半はこうした物があるので置いてください、というものなので、地域の要望を入れて作ることに意義があると思う。

◆水上弁護士より・・・これは自治体がやることではないのか、という話しになると自治体が予算をつけるかどうかで終わってしまう。たとえば、もっとオリジナリティのある安価な街灯を考え提案することでみなさんでやる価値が出てくるのではないか。住民目線はとてもよい視点。どういうものが地域に望まれているのかを把握することが大事。

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「栗原市内でのエネルギーと食を自給できるビジネスホテル」グループ

再生可能エネルギー設備を設置して利用するほか、地域の農作物を使った食事を提供してホテルを経営する。地産地消を感じられる場所にする。雇用や循環を生み出し地域経済や農業と連携し地域の人々が集うコミュニティを作る。

◆水上弁護士より・・・メンバーが経営するホテルがあるので具体的にできる可能性が高い。ハードとソフトを分けて考えていくとより現実味が増す。

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「エネルギーと食と間伐材の自給プロジェクト(道の駅的まちエネエコステーション)」グループ

地域における再エネコミュニティの創造。間伐材のログハウスを作り、地域の食材を提供するレストランを運営して雇用創出や防災を含めた地域拠点としての価値を生み出す。

◆水上弁護士より・・・全体像の絵が描けており、このチームが一番レベルが高い。それだけしっかりしたビジネスプランであるが、その分実現のハードルは高い。初期投資を誰がするのか、道の駅的な共同運営をするのか単独企業としての運営をめざすのかを決める必要がある。最初の一歩がうまくいくかどうかでその後の方向が決まってくる。

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「地域密着型メガソーラー」グループ

自らの会社の屋根にソーラーを設置し地域密着型のソーラー設備を設置するところから始めたい。規模的に事業としての採算は厳しい部分があるが、まずは自社工場で使う電気をまかなうことも含め具体化していきたい。

◆水上弁護士より・・・数字的に厳しいということだが、その数字でも自らの電気代を補う意味で設置するのか、採算性を重視し地置きにしたり規模を大きくするなどの改良を考えていくのかを決めないといけない。次の課題は実現したミニソーラー1個からメガソーラーに発展させていくかどうか。メガソーラーへの発展まで視野に入れるならその過程も考えておかないといけない。

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「福島県相馬市内で高齢者も参画できるソーラーシェアリング事業」グループ

やりたいことは耕作放棄地でのソーラー事業、ソーラーパネルの下の土地を使った農業、安否確認システムなどの高齢者支援。自分は高齢者施設にいるので高齢者支援のノウハウがあり、農作物の知識もある。ただ、日陰で育つ陰性植物を育てるのは大変。高齢者支援と農業とソーラー事業を3つ全て抱えるのも現実的には困難。耕作放棄地を持つ農業者と発電事業者を見つけて結びつけることができれば、自分たちが高齢者支援の部分を担える。これが農村地域の振興につながる。

◆水上弁護士より・・・課題はたくさんあるが話し合わなければいけないことは明確。発電事業は誰が主体になるのか、農作業の主体は誰なのか、みなさんは何をやるのかを話し合い明確にすることが大切。

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「エネルギーと食の自給を目ざす再エネレストラン」グループ

メンバーの中に土地を持つ人がいるので、その場所で作物を育てエネルギー設備を設置しレストランを経営する。違う場所でも採用できるモデルの提供をしたい。誰かにプランを提供するのではなく、自ら発電設備を設置しレストランを運営することを考えている。地域の防災の拠点とし、雇用も生み出したい。課題はレストランを開店できたとして、実際に人が来店してくれるかのマーケティングと、地域の人をどう巻き込んでいくかということ。

◆水上弁護士より・・・難しさの本質はレストランにある。発電設備など周辺部はレストラン経営がうまくいけばやっていける。レストランを作ることそのものより、その後誰がどうやって運営していくのかがカギとなる。

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「再エネコミュニティカフェ「風土」」グループ

古民家を改築したカフェを作り自然の恩恵を生かした経営をし、地域の人に再エネの活用法や自給する方法を知ってもらいたい。このカフェを拠点とし、地域のスモールビジネスや人のつながりを作りたい。メンバーが建築士や銀行社員、NPO代表など多彩なので、建築設計、事業計画、補助金申請、資金融資などそれぞれが力を発揮できる。ネックは場所となる物件(古民家)と運営する人の問題。

◆水上弁護士より・・・みなさんがカフェをやるのかカフェをやる人にプランを提供するのかを明確にしないと、それによって今後やることが変わってくる。後者であれば、古民家を持っている人がぜひウチでカフェをやりたいと思えるようなプレゼンがゴールとなる。

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みなさんの発表を聞いて、地域ファシリテーターのトーマツ・清水毅さんより、「全てこのままでは計画が計画で終わってしまう可能性があります。資金計画や人の問題など具体的に落とし込んでいけるかどうかが今後のカギになります」というアドバイスがありました。

また他地域での過去のビジネスプランの発表をビデオで映写し、地域を巻き込み具体的に参加してもらうにはわかりやすい絵を描けるかどうか、収益性の精査・分析による説得力のある計画にできるかどうかが重要である、ということを確認しました。

ここからは、これまでのアドバイスを踏まえ各グループで具体的計画のためのディスカッションです。事業計画発表会に向けて次の6点を考えながらディスカッションするようアドバイスがありました。

  • 事業プラン名・実施主体
  • 事業への動機付け、思い
  • 事業概要
  • 事業形体・運営体制
  • 事業性評価
  • 事業の強みと課題認識の表明

1時間20分ほどのグループディスカッションののちに各グループから発表しました。以下、各グループの発表と水上弁護士からのコメントです。水上弁護士から、特にこの中で強みということについて、「できる」という強みか「選ばれる」という強み、どちらかの強みを明確にすることが事業実現のポイントであるとの説明がありました。

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「エネルギーと食の自給を目指す再エネレストラン」グループ

通常のレストランとしての運営以外に被災したシェフを週替わりで呼んで、事業再開や引退したシェフの生き甲斐づくりなどにつながるレストランにしたい。行政からの助成金や地域とのつながりなどが課題。

⇒ 面白い視点。必ずアンケートをとってシェフが再開するための情報提供などすると社会的な意義も高まりウィンウィンの関係を築ける。クラウドファウンディングの場になるような提案ができると場所を提供してくれる人も出てくるかもしれない。

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「栗原市内でのエネルギーと食を自給できるビジネスホテル」グループ

既存のホテルがあることは強みなので、宿泊したくなるようなプランや再エネを活用してみなさんが来たくなるような施設を作ることが目標。身の丈にあった無理のない計画を考えプレゼンをしたい。

⇒ 2泊3日でこんなプランができますというような具体的なツアープランを発表してもよいのではないか。場所的に多少遠いことがネックだが、個性的なプランを作り、周辺に大きな発電施設があれば視察ツアーなどで売るのもよいかもしれない。エコツアー的なプランを作り、旅行会社がのってくるような発表ができるとよい。

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「地域密着型メガソーラー」グループ

ミニソーラーをメガにすることは採算的に難しいが、地域の問題を解決するような事業にすることを考えた。たとえば、高齢者が設置して資金回収した後、息子がそれを引き継ぎ安定収入が得られれば過疎地域に若者が残るきっかけにもなる。植物工場などの付加設備で収入を得ることも考えたい。農地を転用したいが技術的に難しいか。

⇒ 発想を転換し、ある程度規模を大きくする方向に舵を切った。これはビジネスのセオリーだが、競争も多い。ソーラーシェアリングでコストメリットを出すために農地を持つ20人の農家を集めるなど他とは違った視点を考えたい。農家の人が50kwずつ農地転用するとしやすくなるような交渉を自治体とできると、みなさんがやる意味が出てくる。

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「再エネ(太陽光と風力)を使った地域防災街灯システム」グループ

再エネ街灯をイメージするときに小さな街灯から考えてみた。ひとつはちょうちんのような街灯の下の部分に企業名を入れるようなもの。家の玄関などに設置できるものとし、学校の授業で子どもが作れるようなものを開発して、それぞれの家で設置してもらうことをめざす。次に、光る電線というのがあるということで、イルミネーションのように街灯を作ることを考えた。PTAや交番などでどこが危ないかを聞き、そうした場所に設置する。まずは仙台市の高砂、蒲生などをターゲットにしたい。学校などで使える体験キットを開発したい。企業名広告を入れることで資金援助を得られるかもしれない。広告収入と作成コストの精査が必要。

⇒ 再生可能エネルギーを使って街灯を光らせると、どうしてもコストが高くなる。LEDを使うだけなら全くコストが違う。広告収入、タイアップ収入を得ることでキットをどれだけ安く作れるかが変わってくる。学校に講師を派遣して学習の場を提供するなら、地域の再エネ事業を後押しすることにもなるので、講師は再エネ事業者が無料で来てくれる可能性が高い。キットがいくらでできるかを詰めることがカギ。ちょうちんのデザインもポイントとなる。

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「再エネコミュニティカフェ「風土」」グループ

カフェ風土はコンテンツを提供する方向にシフトチェンジした。新規就農者に向けたプランニングとして、全国農業会議というところが2年間新規就農者に支援する事業と連携し、カフェメンバーがサービスを提供する事業にしたい。

⇒ 新規就農者については国の制度が手厚くなっているので、そういう仕組みに乗っかることはうまい方法。ターゲットはどういう人にするか。孤立しがちな新規就農者を取り込むのか、地域の人々と就農者をつなぐのか、などターゲットがはっきりすると提供するコンテンツも変わってくる。ある日のカフェの1日を作るイメージだと考えやすい。

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「福島県相馬市内で高齢者も参画できるソーラーシェアリング事業」グループ

事業実施主体として、発電事業は土地がなく発電意欲がある人にやってもらい、農業と高齢者支援を自分たちでやる。発電事業者に賃貸料を払ってもらい収入を得る。メンテナンスは高齢者にパネルをふくなど簡単な作業をやってもらうようにする。発電事業者にどれだけメリットを提供できるかが課題。

⇒ ポイントは発電事業者に非金銭的なメリットを提供すること。コスト面だけだと厳しい。

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「エネルギーと食と間伐材の自給プロジェクト(道の駅的まちエネエコステーション)」グループ

まちエネエコステーションの名前は変えずに、できることに絞った。小さなカフェを開店しメンバーの共同運営をめざす。カフェの年間パスポートを発行する。小さな貸家か空き家を探し、メタンガスでコーヒーを沸かしペレットストーブを置いて来店者に見てもらう。ごみとして捨てられるものをエネルギーに変える。

⇒ このチームは最初に発電設備ではない固定資産を形成しなくてはいけないので、建物を用意する資金を借りるのが難しい。年間パスポートに1万円なりのお金を払った人が何を求めるのかをまず考える。出資者が求めることと自分たちのやりたいことが一致しないとこの事業は実現しない。

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最後にトーマツ・清水さんからもう一度発表に向けての6つのポイントの説明があり最終回の発表までにまとめてもらうようお話しがありました。

いよいよ最終回は1グループ10分ずつの発表となます。清水さんからみなさんへのプレゼントとして発表会までの間にトーマツさんの事務所を話し合いの場として1日ご提供いただけるとのことです。グループで集まって話し合うにも場所が必要ですからうれしいお話しですね。

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最後に水上弁護士からのまとめとして、他地域と比べて仙台の計画はどれもとてもよいとのお話しがありました。課題がたくさんあるということはそれを克服すればできるということで、課題が見つかったというのは具体性が増している証拠であるとのお話しでした。まだどのグループも克服すべき課題はたくさんありますが、とても興味深い内容が多く、みなさんの最終発表に期待したいと思います!

次回は1月23日(金)、仙台市情報・産業プラザ6階セミナールームで再エネビジネスプラン発表会となります。