横浜スクールは6グループが事業発表へ

  • 2014.12.24
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年の瀬が迫った12月8日、神奈川・横浜スクール第3回講座が開かれました。会場となった横浜信用金庫の会議室からは、まだ美しい銀杏並木の景色が見えました。

第3回は「リスクを踏まえて始めるために今、できること」と題して、前回と同様、受講生はグループに分かれて話し合い、事業計画をさらに具体化していきます。今回のゲスト講師は、再エネ事業を支援する法律実務の会・水上貴央弁護士です。終始とても熱心にアドバイスをされている姿が、印象的でした。

まずは前回の課題、

  • 「できること」と「やりたいこと」を分けて考える。その上で、自分たちはどの部分を担うのか?
  • 自分たちの事業、自分たちの担う部分の「価値」は何か?

について話し合った結果をグループ毎に発表し、水上氏からそれぞれのアイデアのユニークな点や、もっとこうしたらいい、など個別にアドバイスがありました。

その後参考として、昨年度のまちエネ大学での事業計画最終発表の「滋賀・姉川上流域エネルギー自立圏構想」などの映像を観た後、次回の最終回の事業発表会に向けて、さらにグループ別に事業計画を詰めるためのディスカッションを行いました。

グループ別のディスカッション時には、水上氏とファシリテーターを務める治田友香氏(関内イノベーションイニシアティブ株式会社 代表取締役社長)がアドバイザーとして各グループに入り、活発な議論が進みました。

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エネルギーシフトの映画の上映会やミニソーラー発電ワークショップなどのイベントを既に地域で開催し、地域でのネットワーク作りを始めているグループもありました。水上氏は、具体的に事業計画が進んでいるグループには節税の方法やメリットなどテクニカルなアドバイスを、まだ具体的に絞り込めていないグループには事業化に向けての多様な視点から具体化に向けてのヒントをアドバイスしました。

その後に、今日どこまで話せたか、積み残したことなどについいて、グループ別に発表しました。

=========== 各グループのディスカッションのまとめ ============

①「川崎市内での市民電力発電所の普及拡大」

リーダー:川岸卓哉さん

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私たちの目的は、原子力発電にエネルギーを頼らない社会を作ること。

太陽光発電の1、2号機の場所はもうは決まっており、発電所となるマンションでの説明会や2月1日に通電式というイベントを予定している。11月に市民啓発イベントでブース初出展し、会員募集を始めている。NPO法人としてプロモーションビデオの制作もし、その映像も流した。ドイツのエネルギーシフトの映画上映会も企画し、国や市町村に対して、再エネをすすめる提言をいくつか提出した。

NPO法人として認可され、ホームページも制作している。FITの買い取り価格が変わるので、来年度以降、売電で採算性が合うかどうかわからない。しかし、投資した人の減税メリットが数字になりそうなので、節税をメリットとして進められる。スタッフに今、NPOとして給与が払えない状況にある。ボランティアでこの先20年間、スタッフのモチベーションを維持できるかどうかというのが今後の課題。

〔講評〕:1号機が実現できるのは素晴らしい。今後みなさんとして何号機までやるつもりなのか。ここのグループは具体的に話が進んでいるので、節税などの技術的なアドバイスをした。

目的が脱原発なら、民主主義では受益者の人数を増やすことが大事。人数を増やそうとすると、運営コストはかかるので、あまり儲からないビジネスだとその余裕がないという問題。最初に地主を巻き込んで始めるというモデルで、まずファイナンスを成立させる。そこからどうやって受益者を増やすか、順序が大事。

 ②「東京都町田市内での市民電力発電所の立ち上げ」

リーダー:入澤滋さん

できることとしてはイベントの電源としてのソーラー発電の供給。

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既に、ミニソーラー発電ワークショップを開催した。繰り返し開催して協力者を募っていく。ミニソーラーのオーナーたちのノウハウのシェア会の開催も予定。自分たちができることは「場づくり」。ソーラー発電をする人を増やし、町田の中で「市民の市民による市民のためのエネルギー」をやりたい。

ゆるキャラ「まちでん君」を作ったので、幼児教育でゆるキャラを使った環境教育の紙芝居をしたり、幼稚園との信頼関係を築いて屋根を借り手発電したり、幼児の親も巻き込んでネットワークを作っていきたい。いずれゆるキャラグッズの販売もしたい。

今日はアドバイスをいただいて、計画が振り出しに戻りそう(笑)。2016年4月に電力の小売りが自由化されるが、発電所と幼児教育どっちをやりたいの?と聞かれ、どっちもやりたいけど、優先順位を考えてまずできることは環境教育、それをやりながら幼稚園の経営者や父母などと連携をすることがまずできることなので、そちらをまずはやっていくことになるかも。

〔講評〕: 時間軸を設定することが大事。いずれやりたいこと、と言っているうちは実現しない。1年後なのか、2年後なのか3年後なのか、まず決めること。

今まさに生みの苦しみの真最中だと思う。軸足が、幼稚園にあるように感じた。発電ビジネスの設計は、発電する、啓蒙するだけでなく、コンサルする、代理店をする、遠足をしかけてツアコンをするなど、いろいろな形態があるので、柔軟に考える。みんなが発電をしたりお金儲けをしたりする必要があるわけではない。目的との間で、意味のある計画にすること。幼稚園向けの環境教育として有力なコンテンツを作れたら、すごく夢のあることだと思う。

③「たまプラーザでの市民電力発電所の立ち上げ」

リーダー:梅原昭子さん

「省エネ」と「創エネ」両方で、自然エネ100%のまちをつくりたいが、まずは「省エネ」でFIT以外でのスキーム作りをやっていきたい。

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人が集まる公共施設、福祉施設や病院などをターゲットに省エネ支援をしていく。省エネをしてイメージアップもできる。買い替えなどの設置費用を、資金集めをして賄い、節電した分のお金を返していただく、というモデルを作る。私たちの強みは、もうメディアを持っていて発信力があること。地域での土台はある。まずは仲間の勤める福祉施設で実験をやってみる。

LEDを使う、窓を代える、太陽熱温水器を使う、など省エネにはいろんな方法があり、内容によって金額も変わるので、節電メニューのパッケージ化を行う。節電の費用対効果を可視化するために、実験して調べてみる。

〔講評〕:「節電所」というキーワードがキャッチーで面白い。節電をするために投資したお金と、節約できたお金を比較してトータルでプラスになればいいので、ビジネスとしては成立している。あとは誰がどのタイミングでやるかというのを決めるだけ。

市民だったら、たとえばLEDに変えて節電できた分だけでなく、変えたことによって電気を消すようになるなどの心理的効果を検証でき、普通の事業者より優位性を持てる。その実証をわかりやすくパッケージ化し、商品設計すれば実現できる。

④「茅ケ崎市内での食品残さ等を使ったバイオマス発電」

リーダー:菅野恒宏さん

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茅ヶ崎エコプロジェクト(通称チェコプロ)で、生ゴミを利用したエネルギーの地産地消をしたい。

⑴生ゴミや食品ロス、給食残さなどを有効利用し、発電のエネルギーにしてしまおう

⑵それらの発酵過程でできるメタンガスを利用して、電気、ガス、熱を生み出そう

⑶発酵が終わった後の残さなどは、肥料として活用しよう

新潟や大田区などのバイオマス発電や産廃の施設を視察して情報収集をしている。一緒にやっていく仲間を募り、ネットワークが広がりつつある。原料が、生活する上で発生する無駄なものなので、枯渇しない。わが町のエネルギーを作り出せ、雇用も生み出される。食品工場内で、廃棄物処理に回す食品残さを埋めてバイオマス発電をする。

〔講評〕: 今考えているビジネスプランを一枚の絵にして欲しい。お金を借りるなら、金融機関を説得する必要がある。金融機関の担当者に説明するとして、自分たちの価値をどうプロモーションするか、ということを具体的に話し合ってほしい。誰がゴミを出し、誰がどこにそれを運び、発酵は誰がやり、それをまた誰がどこに運ぶのか、残さもどうするのか、プロセスとスキームを書き出して、自分たちがどこをやるのか、を明確にする。簡単にできそうなところと、全く新規なところを色分けして、事業計画を書くとリアリティーが増す。

食品工場で出た食品残さを、その場で発電するのが一番合理的。食品工場が産業廃棄物処理の免許を持っているとは限らない。そこに必然性があるかもしれない。必然がないとビジネスは成立しない。どんどん掘って考えてみる。考えることも大事だが、同時に視察や調べることも大事。

 ⑤「横浜・大倉山での発電プロジェクトの立ち上げ」

リーダー:肥後貴美子さん(肥後さんお休みのため、余川さんと澤幡さんが代理発表)

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やりたいことは「エネルギーシフトは暮らし方のシフトから」。自然と共生する循環型の持続可能な暮らしへシフトするために、地域コミュニティをつくる。再生可能エネルギーにシフトをする。できることは、商店街にコミュニティ発電所を作り、まず実際に小さな発電所を実現したい。地域、商店街を含めてイベントをやっていく。

〔講評〕:やりたいことは、みんなそうだね!と思うこと。素晴らしい。どこの発電所で何ワットくらい、事業者はだれでどれくらいのお金をかけてどうやってやるのか、ということを、もっとリアルに話していくと、一気に話が具体化してくると思う。最初に投げる小石が何ですか、ということが大事。ディング、寄付など具体的な方法が見えてきたのが、今日話せてよかったこと。資金をどうやって集めるか、疑似私募債、クラウドファウン資金調達やランニングコストや節電について、今後詳細の話を詰めて行く。

発電予定が10キロワット以下なので、基本的にFITベースの計画が立てられない。売電だけでは黒字にならないので、節電も含めたメリットを考え、プラスになる書き方はできると思う。例えば複数の商店街で節電コンテストを同時にやって、切磋琢磨して競い合ってもらい、投資分は回収できる、という考え方もできる。商店街の人が面白いね、と思える具体的な数字を取ってこられたら、難しいけど価値があると思う。

⑥「商業施設での官民連携による再エネ普及事業の新アイデア」

リーダー:水津和幸さん

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我々は再エネ事業者を目指しているわけではない。自らがハブとなってネットワークを作り、再エネの啓蒙促進をしていく。スタートとしては、川崎市や横浜市などの行政と、さらには優良企業と連携しながら、繋げて行きたい。

ホームページの開設や、ミニまちエネ大学の開催、環境映画の上映会などもやっていきたい。メディアなどを巻き込んでどう拡げてゆくかが今後の課題。横のつながりを作っていくことをやっていきたいので、最初はここにいる皆さんにもご協力いただきたい。

〔講評〕:他と違う価値を明確化してほしい。実際に発電をしようとしている人たちと普通の市民をどうマッチングするか、ビジネスでやるか市民活動でやるかは置いておいて、誰と誰を具体的につなぐかというリストを作ることが大事。それが決まれば、どのような方法でやるか、が決まってくる。ぼんやりしたお客さん、ではなく、親子編とか男女のデート編とか高齢者編とか、もっと具体化しよう。

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会の終わりに、治田氏より、「1ヶ月後どうなるか、楽しみにしています。プレゼンなどについて不安などあれば、私までご相談ください。一度事前に第三者に聞いてもらうことも大事ですからね」とのメッセージがありました。

水上氏は、「私自身、大変楽しませてもらいました。最終的にいい発表をしてもらいたいので、かなり具体的である意味で今日は厳しいコメントもさせていただきました。みなさん、すごく面白いことを考えていらっしゃるので、いかに自信を持ってまとめられるかポイント。生みの苦しみがあると思いますが、ちゃんとアイデアを成仏させてあげてください。次回はここには来られませんが、みなさんの報告書には必ず全て目を通すので、頑張って下さい!」と激励の言葉で締めくくられました。

次回1月19日は、いよいよ最終回となります。サステナジー株式会社の代表取締役社長の山口勝洋氏をゲスト審査員にお迎えして、たまプラーザのプラザホールでビジネスプラン発表会を行います。協賛いただいている横浜信用金庫の方々も審査に加わっていただきます。貴重な機会ですので、ぜひ皆さん頑張って下さい!